生と死と恋の間で~死神?!に恋した陰キャJKの1週間~


5日目(日)昼

さくらは、昼過ぎに目を覚ました。

いつものさくらの休日と同じ時間帯だ。

いつものさくらなら、このまま、だらだらと、気の向いた時に食べたり、一日中、好きなものに囲まれ、好きな漫画やアニメを見たり、

ゲームをしたりして、気ままに過ごす。さらに時には昼過ぎまで寝たのに、また昼寝をすることもあったりして、母に驚かれたり怒られたり、ということもあった。しかし、期限付きの生活だと思うと、さすがにそうもいかない。

さくらは、いつも通り、1階に行くと、母は既に仕事に出かけたあとだった。

キッチンのテーブルには、母が用意してくれた、さくらの分の昼食が置かれていた。

さくらはそれを朝昼兼用の食事として済ませた。

その後、さくらは、ゴミ袋を1枚持って自分の部屋に戻り、せっせと片づけをし始めた。


もし、このまま私が消えても大丈夫なように、人に見られたら困るものは事前に廃棄しておこうという魂胆(こんたん)だ。

ただ、それでもさくらはゲームに負ける気はさらさらなかった。部屋の片付けも念のための準備だ。

生きるにしても死ぬにしても出来るだけ身辺整理はしておきたい。

さくらは、こまごまとしたものや、恥ずかしくて見せられないノート、着られなくなった服などを、

容赦(ようしゃ)なく、せっせとゴミ袋に放り込んだ。


さくらの部屋は、もともと意外とすっきりしている。

ヲタクと聞くと、大体、推しキャラ(推しのキャラクター)のフィギュアが飾ってあったり、

部屋中にポスターやコレクションが、所狭しと飾られている部屋を想像されがちだが、

さくらの部屋はそれとは全く違っていた。


西側の壁に白い本棚がびっしりと置かれているが、その本棚にはすべて扉が付いている。

部屋に入った瞬間、本棚の扉が閉まってさえいれば、一見すれば、すっきりとしたごく普通の清潔感溢れる女子の部屋になるのだ。

しかし、本棚の扉を開ければ、一瞬でヲタク部屋と化す。

本棚を開けると、全巻そろえられた漫画や、アニメのフィギュアが、美しく並べられていた。

さくらは基本的にはキレイ好きだが、物を大事にする性格なので、何年も同じパジャマを着たり(洗濯は毎回してもらっている)、弁当箱やお箸セットも幼稚園の時に使っていた物を今も使い続けている。

そんなさくらの本棚に扉は不可欠で、漫画の日焼け防止にもなるし、大事な漫画やコレクションなどをホコリからも守ってくれる。本棚の扉は、長くキレイなまま置いておきたいというさくらの思いからの工夫だ。

そして何より、扉を閉めてさえいれば、ヲタクの部屋には見えず、勝手に本やコレクションに触られることもない。

さくらは本棚には手を出すことはなく片づけをしていたが、それでも、最初にさくらが思っていたよりも意外と時間がかかった。

結局、ゴミ袋1枚では足りず、45リットルのゴミ袋2袋がいっぱいになった。



ある程度片づけたあと、次にさくらは、携帯電話の中身の整理にとりかかった。

WEB上で無料会員になっていてほとんど利用していないものなどの退会手続きをしたり、

縁の切れた友人のアドレスや、トーク履歴など、躊躇(ちゅうちょ)なく消していった。

さくらは自分がこんなに思い切りのいい性格だとは思っていなかったが、1つ消すと不思議なことに勢いづくようで、

要らないものはどんどん消していった。

身辺整理をしながらも、さくらの心の底では、絶対にゲームに勝てるはず、と、根拠のない自信があった。