「今日も来たよ。相変わらず懲りないよね」
「私達のこと見下しに学校来てるんじゃない?」
私、佐野冬菜は入学して一ヶ月、絶賛いじめの標的にされてます。
別に対して目立つような容姿はしていない。
焦げ茶色のストレート、髪の長さは長くも短くもないミディアムくらい
目立つとすると制服の上から着ているパーカーと授業に出たことがないくらい
けして自分を可愛いと思ったことのないごく普通の高校生
そして私のことをいじめてるのは吉田彩花
[入学してから今までいじめを続けててよく飽きないな〜]
まぁどうでもいいし、そんなの気にしてるなんて人生で一番といっていいほど時間の無駄遣い
「どうでもいいわ あんたたちにかまってる時間無駄だわ」
ぼそっと本人に聞こえないと意味のなさない言葉をつぶやきながら、自分の席へと向かう。
今日も憂鬱 こんな意味のない時間早く過ぎればいいのに
そんなこと考えながら、SHRの時間まで窓の外を眺めながらため息一つ
SHRが終わったらそそくさと屋上へ
学校にいる時間は制服の上にパーカーこれが私のいつものスタイル
朝、家を出るときはセーターを着ているけど通学路の途中でそれを脱ぎいつものパーカーに着替えておく。
お供はイヤホンとスマホ、モバイルバッテリー、財布これがあればお昼にお弁当を取りに行く以外で教室に行く必要性なし!!
授業なんて欠席 受けなくてもテストは毎回学年10位以内だし
はじめはどの教科の先生も私を授業に出席させようと、頑張ってたみたいだけど
私が頑なに屋上のドアを開けず、屋上に半分立てこもり状態 そんなのが一週間続けば誰だって嫌になる 結局みんな諦めて黙認状態になってる。
私からしたら嬉しい限りなんだけどね。
流石に何も出ないのはまずいかなった思って、SHRにだけは出るようにしている
屋上に続く階段を上がって、ドアを開けたら開放的な空間にひとりだけ 最高すぎる
伸びをしながら屋上の飛び降り防止フェンスへ近づく
いつもはそこまで何事もなくたどり着けるはずなのに今日はなにかにつまずいて盛大に転んだ。
「いった… なんでこんなところでつまずくの」
そうひとりごとをつぶやくと
「あんたこんなところで何してんの?」と見知らぬ人の声がした
振り返ると、知らない男子生徒が起き上がって問いかけられた。
どうやら、この男子生徒の足につまずいたらしい
同じ高校の制服だけど…同じ学年ではない全く知らない男子生徒
そもそも髪の毛の色がミルクティーベージュの高身長、イケメン男子なんて目立つ人をみんなが放っておくわけがない。
他学年で噂になっているのを、私が知らないだけかもしれないけど…
嫌でも耳に入ってくるはず
「誰ですか?」おそるおそる聞いてみる。
「誰ですかって聞く前に自分から名乗るのが筋じゃないの?」とド正論を冷酷な声色で言い放たれてしまったから
「1年C組の佐野ですけど…」とおそるおそる名乗ると、
「なんで名字だけなんだよ」とすかさずキツめのツッコミ
「いや、名前まで言う必要ありました? フルネームって言われてないですし…」
「確かに言ってないけど普通フルネームだろ?」って言うから、仕方なく
「佐野冬菜です」と名乗ると「ふーん」とだけ言って話を終わらせようとする男子生徒
「何話終わらせようとしてるんですか? あなたも名乗ってくださいよ」
キツめのツッコミに少しイライラしていたからつい語彙が強まってしまった。
「うるせーな」なんて小言をいうだけ言って、寝転んで寝てしまった。
「名前教えてくれてもいいじゃない 人の名前だけ聞いて自分は名乗らないなんて筋が通ってないのはどっちよ」
なんてボソッと呟いてから私もスマホにイヤホンを繋げ両耳につけ、寝っ転がって[この人何年のなんて人なんだろう 一方的に名前聞かれて、小言つぶやかれただけじゃん ホント最悪]
なんてことを考えながら空を見ることにした。
その時に先輩がぼそっと「やっと見つけたでも覚えてるわけねぇか」と言ったことにも気づかずに

気づいたら3限の始まる時間になっていた。
どうやら考えながら空をみていて寝ていたみたいだ。
起きたらあの男子生徒はいなくなっていた。
[結局名前教えて貰えなかったな]なんて思いながら飲み物を自販機に買いに行こうと思い財布を開けると、中に1枚の紙切れが入っていた。
2年A組 三影奏音 とだけ書かれた紙切れが入っていた。
[なにこれ]って思って少ししてから[名前… あ!これってあの男子の名前か先輩だったんだ ちゃんとフルネームで書いてある…]
そこで何をするために財布を開いたのか思い出してその紙切れを1回財布にしまって自販機へ行くことにした。