先輩の話を聞いた私は、びっくりした。
確かに中学1年の冬、駅近くに買い物にいったときに公園でぼーっとしている人がいて、不思議に思ったけど、寒そうだったからコートとマフラーを貸したという記憶はうろ覚えながらにあったが、あのときの人が三影先輩だなんて思ってもいなかった。
私を探してた理由はなにかわからないけど、私を探す為に、先輩は隣町からこの海南高校に進学した。
ここはそこそこの進学校だから、先輩の今の成績を見る感じかなり大変だったはず
私もすごく大変だったからよく分かる
最も私を探す為に入学した先輩となんとなく選んで入学した私とではモチベーションが違うけど…
先輩は私を探していたという話を聞いた私の心拍は上昇し続けた。
ずっと抑えていた気持ちが表に出てきてしまいそうなほど
「好き…」
無意識のうちに私は先輩にそう告げていた
心の声が完全に声に出ていた。
「はぁ?今お前なんて言った」とすぐに反応する先輩
「なんでもない。忘れて」
「それは無理だろ。あんな大層なこと言っといて忘れてはルール違反」
なんていう先輩
「ルール違反って何?」と返すと「恋愛においてのルール違反」と言われてしまった私は仕方なくもう一度言おうとした時「やっぱり待って、俺が言うから」と言われ私は意味がわからなかった。
お互いほぼ同じタイミングで空から目を離しお互いの顔を見た。
そして先輩は
「中学2年のあの日、なんの事情も聞かず自分を犠牲にしてコートとマフラーを貸してくれた冬菜に一目惚れした。だからずっと探してた。見つけたところでどうするんだよとかも思ったし、再会できても、好きだと言うつもりはなかった。怖かったんだ。でも見つけた時すげー嬉しかったし運命だと思った。一緒に過ごすうちに好きがましていって、もう一度自分の気持ちに正直になってもいいのかもって思えた。俺は、出会ったときからずっと冬菜が好きなんだよ」
「え…」
普段のクールだけど、どこか不機嫌そうな感じはなく、真剣に想いを伝えてくれているとわかる声色だった
初め何を先輩が言っているのかわからなかった。
ようやく理解が追いついた時に私は先輩に「本気?嘘じゃないよね?」と聞いていた。
「この状況で嘘をつくと思うか?」と言われてしまった
私はその言葉を聞いて、涙が出てきた。
「なんで泣いてんだよ。そんなに嫌なら早く振れよ」
と言われた私は「嫌なわけないじゃん。始めて私の事情を知ってどうにかしようとしてくれた人でその時はまだ何も気付けなかったけど、今は…」
そこまで言って言葉を一旦切った私は涙を拭ってさっきよりもはっきりとした声で
「私も三影先輩が好き」と言った。
先輩はびっくりしながらも言葉を続けた
「まじで?俺と付き合ってくれんの?」
「もちろん!こんな私でいいなら」
そう私が言い終わると同時に先輩は私のことを抱き寄せてから「冬菜だからいいんだよ」と言ってから「冬菜こそ俺なんかでいいのか?」って言うから「三影…奏音先輩だからいいんだよ」と返した。
急に名前を呼んだからなのか先輩は私を抱きしめる腕の力を強めた。
しばらくそのままだった私たち
離れてから先輩は「冬菜」「なに?」「めっちゃ好き」「ありがとう」「冬菜は?」「私も奏音のことすごい好きだよ」
そう言うと同時に私たちの唇は重なった。