「……ねぇ、翠君」

 首を傾げると、俺の肩に手を当てたつばきさんが、背伸びをして優しくキスをしてきた。

「やっと……できた」

 初めてつばきさんからキスをされ、つばきさんはビックリするくらい顔を真っ赤にしているのに、柔らかにはにかむ。

「つばきさん、ありがとう。ずっと忘れない記憶になりそう」

「……ふふ、私も。最後にここで話せて良かった」

 やがて名残惜しさをちゃんと置いて、行こうと手を繋いで二人図書館を後にした。