やっぱこいつ違ったな。

 あの時は、場の雰囲気に流されたのかも。

 ……なんて思われたら、地獄に突き落とされたようなもんだ。

 大丈夫かな。恐くなってきた……。

 時間的に、あさなはもう来ていると思う。ドクドク鳴る心臓を右手で抑えながら遅い歩調で前に進んでいると、おはよって、当たり前のように隣に並んできたあさなは嬉しそうに笑っていた。

「え、顔色悪。なんかあった?」

「あ……おはよう。振られるかなって思ってた」

「なんで?」

「なんとなくそんな気が……違った?」

「意味不明」