思わず呼び止めると朝貴は私に気付き振り返ると、雨脚が弱いうちにこのまま帰ると言った。

「……風邪引くよ」

「引いたら学校休めるし、ラッキーだな」

 子供のようなことを言って笑いながら小走りになり、校門まで行く立ち漕ぎをしながら去って行く。

 学校来なかったら、会えないのに。

 そこまで言わず、ちょうど来たバスに乗ると、自転車で家路を急ぐ朝貴をあっという間に追い越した。

 バスで帰るなら、一緒に乗れたのに。

 ──私はさっきから、何をいちいち考えているのだろう。