そんな風に言ったら、迷惑だろうか。

「……翠君」

「うん、つばきさん」

 口角を上げると、つばきさんも小さく微笑んで目を合わせてくれた。

 朝貴や中滿さんはもう見えない距離にいる。二人はどんな会話をして、楽しんでいるのだろうか。

「今日は綺麗な紫陽花を見て、つばきさんともこうやって話せたから嬉しい一日になったよ」

「……そんな、そんな。私こそ……」

 連日雨の中晴れた稀な日に見れた、美しい紫陽花。今日はすごく良い一日になったと思う。