僕はあの日から早く学校に来ることにしている。
雨野さんとたくさん話がしたいし、もっと雨野さんのことを知りたいから。
雨は…あの日とと同じでとても激しく強かった。
ボクが学校に着くのと同時くらいに雨野さんも着いた。
「おはようございます、雨野さん!」
「おはようございます伊般さん」
あの日から挨拶をかわすこともできるようになった。
一緒に教室へと行く間は相変わらず会話がなく静まり返ってしまうけど。
でも…。
「あの…タオルをどうぞ…」
「あ、いつもすみません」
少しずつ距離が縮まっているような気がする。

教室に着くと雨野さんは髪を軽く拭く。
長いと大変そうだなと思いながら僕は見ていた。
髪を拭き終わると席についてやっぱり窓の外を眺めている。
いつもこの流れだ。
聞いていいのかわからないな。
聞かれたくないことかもしれないし…。
そんなことを悩んでいたら雨野さんがチラッと僕の方を見た。
「あ、すみません…見つめすぎましたよね…」