可愛い…。
不意打ちはずるいぞ…雨野さん!
「私は大丈夫ですよ。いつものことですから」
「いつも?もしかして…」
学校に近づくにつれて雨が強くなったのってもしかして雨野さんが近くになってきたからなのかな?
だとしたら…。
「雨野さんは皆があまり濡れないように早めに登校して遅く帰るんですか?」
僕は思い切って聞いてみた。
恐る恐る雨野さんの方を見ると…顔がみるみるうちに赤くなっていった。
「き、気づいていたんですか?」
「いえ、えっといつもって言ってたのでなんとなくそうなのかな〜って思って…」
雨野さんは明らかに動揺していた。
「伊般さん…このことはどうかご内密にお願いしますね」
と人差し指を口の前でしーっとやった雨野さんの姿はとても可愛かった。
だから不意打ちはダメですって雨野さん!
「ふふっ、わかりました!」
「ぜ、絶対ですよ!」
「はい!」
雨野さんの謎が一つ解けた。
今日早く家を出なければわからなかった。
雨野さんは皆を守りたかったから…なんだ。
優しいな…雨野さん。
雨野さんと僕の秘密ができた日だった。