今日はいつもより早く目が覚めた。
だから早く準備をして家を早めに出た。
傘を持って…。
最初は降ってはいなかった雨が学校に近づくにつれ降り出し、だんだん強くなった。
いつもより強かった。
僕は制服が濡れていないかを確認してから上靴に履き替えていた。
すると…。
「ふぅ…すごい雨…」
そう言いながら来たのは…雨野さんだった。
「あ、雨野さん!?」
すごく濡れてないか?
風邪とか引かないか心配だ…!
「あ、えっと…」
僕は鞄の中にタオルかハンカチがないか探した。
いつもはすぐに出てくるのにどうして今日に限って…っ!!
そんな僕にスっと伸びてきた白くて細い手。
「大丈夫?髪…少し濡れてますよ、伊般さん」
そう言った雨野さんはハンカチで僕の髪をそっと…拭いてくれた。
雨野さんが僕の名前…というか名字だけど僕のことを呼んでくれた…!!
「あ、雨野さんも髪…濡れてますよ?先に拭いた方が…」
僕がそう言うと雨野さんは何故かクスッと笑った。