そして驚いた。

流し台には一滴の水も垂れていなかった。

食べ終わった皿も無ければ皿洗いをしたわけでもない。

驚きつつも、何となく、ありえなくもないなと思ってしまう。


それはさておき、とにかく急がなくては。


さて、綺麗に片付けられたキッチンを見回した。


どれも古いが、大切に使われ、手入れされている。

ご飯を忘れる人がここまで手入れするだろうか?


若干違和感を覚えながら、食材を探す。


食糧庫に入り、大きな麻袋に入ったじゃがいもとおやつ用らしき小さなにんじん、ブロッコリー、羊肉のウィンナーを見つけた。

あと、いつのか分からないがまだ新鮮そうな卵。

それと天板に置いてあった固くなったパン、チーズ。

この数種類だけが──どっさり、大量に──あった。