‐高校2年生の春休み。

「ホントにこの漢字でいいの?」

心太(しんた)の言葉に、海月(みつき)は頷いた。

「心太の心と言う漢字と、わたしの月と言う漢字で、心月(みづき)にする」

海月は幼少期からクラゲとからかわれて、高校になってもヒソヒソと、海月の名前を笑う人がいるので、将来の事も考え、高校3年生になる前に改名の手続きをした。

「でも変じゃないか…?」

改名の手続きをするのに、一緒に来てくれた海月の父親が心配している。

「俺もそう思う…」

心太も頷く。

「好きな人の名前だからいいの!」

海月の改名に最後まで反対だった母親とは、最近口を聞いていない。