【京】



 オレはみんなと別れた後、商店街に向かった。

 速く行きたい……だけど、足が全く言うことを聞いてくれない。

 足が……とにかく重い。

 なんでだろう。

 いや、理由は分かってるんだ。

 恵と会うのが、怖いから。



『来ないで!』



 小5の時とは違い、あんな恵を見たことがない。

 今恵に会っても、どんな顔をしたらいいんだろう。

 いや、考えるのはやめよう。

 今は恵を捜し出すことが先だ。

 オレは重たい足を、一生懸命持ち上げた。



       ***



 ようやく着いた。

 今は夕方だから、まだ人は多いか。

 小さい子供もいれば、学生もいる。

 かなり賑わいがある。

 さて、恵はどこにいるかな?

 そう思いながら、捜し回った。

 ……いない。

 深いため息が、つい溢れた。

 ハズレかな……。

 他をあたろうと歩き出すと、オレの頭に1つ、考えが浮かんだ。

 人に聞けばいいんだ!

 そうと考えたら行動で示す。

 まず、魚屋に行くことにした。



「おぉ!京じゃねーか。久しぶりだな」