「シュッ」



 4月20日。

 火曜日の1時間目の授業。

 私達は、体育で跳び箱を跳んでいる。

 ついさっき、跳んだ人は颯人くんだ。

 学校で最大の13段を、なんなく跳ぶことができていた。

 しかも、私以外の6人も、なんなく跳べていた。

 みんなが運動神経がいいのは知っているけど、颯人くんも運動神経がいいなんて、全然知らなかったよ。



「さっすが颯人様と10班の男子様達。白崎と違って、運動神経がホントにいいわね」



 あれ?

 一加ちゃん、うっとりとしたような顔をしたけど、なんかサラリとディスられた?

 気のせい……かな?



「次、白崎。何段に挑戦するんだ?」



 体育の石崎(いしざき)先生が、私に尋ねて来た。

 何段を跳ぶか、私はもう決まっている。



「13段を跳びます」



 そう言うと、周りの人達はシンッと静かになって、私の方に視線を向けた。

 あ、あれ?

 まずかったのかな?



「し、白崎。別に無理しなくてもいいんだぞ?」

「そうよ。無理して跳んで、失敗なんてしたら、超恥ずかしいわよ〜」