「恵ちゃん」



 7人で帰る途中、突然声をかけられた。

 聞き覚えのあるその声に振り返ると、颯人くんが車から降りて、こっちに向かって来ていた。

 学校の女の子達がいたら黄色の歓声があっただろうけど、私達の帰り道には誰もいない。

 だから、とっても静かだった。



「颯人くん、どうしたの?」



 不思議に思って尋ねると、颯人くんはニッコリと笑った。

 そして、1枚の白い封筒を取り出し、私に差し出した。

 封筒には、きれいな明朝体で【招待状】と書かれていた。



「4月30日に、学校で僕の誕生日パーティーが開かれるんだ。そのパーティーに、君をご招待するよ」



 そう言われて、私は首をかしげた。

 パーティーに行くのはすっごくワクワクする!

 けど、なんで学校でするのかがさっぱり分からなかった。

 学校で生徒がパーティーを開くなんて、どう考えても不可能なはず。

 基本行事ぐらいでしかできないようになっているらしいし。

 すると颯人くんは、私の心を読んだかのように教えてくれた。



「あの学校は、僕の父の物でね。僕がパーティーを開きたいって言って、許可を貰ったんだ」