ニッコリと笑う彼女に、絶句しそうだった。

 いや、心配してくれたのは嬉しかった。

 今まで、そんな人はいなかったから。

 けど、今までの流れでも、僕の告白を告白だと思っていないみたいだった。

 いわゆる、天然ってやつなんだろうか。

 いや、いくらなんでも天然すぎるだろ。

 けど……。



「うん。ありがとう」



 なぜか、この笑顔は心の底から笑えるものだった。



        ***



 ちょっと恵ちゃんと離れた途端、クラスの女の子達が群がって来た。



「颯人様!私とも踊っていただけませんか?」



 確か……笹本さんだったっけ?



「いいよ」



 いつもの、外向きの笑顔を見せる。

 それだけで、女の子達は喜んでくれる。

 僕のことをちやほやして、はしゃがれる方が、もしかしたら楽なのかもしれない。

 けど、なにも満足感はない。



『友達に甘えるのも全然いいの!』



 さっきの恵ちゃんの言葉が頭から離れられない。

 いや、それ以上に。

 恵ちゃんと言う存在が、頭の中いっぱいに埋め尽くした。

 これは、なんとなくだけど、分かる。

 恋なんだなと。