……ん?

 好きだよって言ってはいる。

 けど……これ、恵ちゃん勘違いしてないか?



「颯人くん。いつもこんな私に優しいし、誰にでも笑顔で接してるよね!」

「あ、ありがと……う?」

「けど、気をつけた方がいいと思うよ」



 急に真剣な顔になった彼女に、もっと不思議に思った。

 普段、こんなに真面目になる人じゃないんだけどな。



「なんでかな?」

「颯人くん。疲れない?」



 疲れ……る?

 恵ちゃんの言っていることの意味が分からなかった。

 そんな僕を他所に、話を続ける恵ちゃん。



「私ね、周りの環境のおかげなのか分からないけど、こういうのは分かる。颯人くん、いつもどこか無理している気がするの。笑顔だけど……疲れが混じっている笑顔」



 言われて、気づいた。

 確かに、僕は作り笑顔をする。

 そうでもしないと、人は面倒くさいからだ。

 だから、なるべく平和に、安全にするには笑顔を作るしかない。

 そんなこと、今まで気にしたこともなかったんだけど……。



「だからね、時々は息抜きが大切!親に甘えるもよし、それか友達に甘えるのも全然いいの!私でよかったら、いつでも待ってるよ。だって、友達なんだから!」