【玲】



 オレ達は恵が颯人の方に行った後、バルコニーに移動した。

 今、機嫌がめちゃくちゃ悪い。

 多分すぐにでも誰かに当たる自信がある。

 機嫌が悪いのは、あいつ(颯人)のせいだ。



「あ〜あ、俺達もめぐちゃんと踊りたかったな」



 俊が悔しそうに顔を歪めた。

 悔しいのはオレもだっつうの。



「ぼく達の方が、先に踊る権利あるはずなのにね〜」



 優くんが頬を膨らませていると、累がため息をはいた。



「仕方ない。恵は断れない体質だから。ホント、おばさん達そっくりだ」

「でも本当に悔しいよ。僕達の方が最初に好きに……」

「「「「「おい〜〜〜ー〜ー!」」」」」



 慌てて清の口を全員が押さえ込んだ。



「んんん〜!?」

「清、誰かに聞かれたら大変だから。お口チャック」



 京が清に小声で伝えた。

 そう、オレ達6人は、恵のことがずっと前から好きだったんだ。

 なんで6人全員が好きになったのかは知らないが、まぁ、仲のいい恋ライバルって感じになっている。

 なのに、後から来た颯人なんかに邪魔されて……。

 くっそ!

 あいつのせいでマジで焦ったんだから。