「お待たせー。」
2人で待っておこうと言って、すぐにお母さんが来た。
「さ、行こうか。 暑くなかった?」
「さっき来たところだから平気。
お母さんこそお仕事お疲れ様。」
ありがとう。とお母さんが応えて、旅館に入って行く。
あっ、ここであってたんだ。
礼儀作法とかわかんないけど、私大丈夫かな?
「ランチを予約している早坂です。」
さすが秘書。
お母さんが慣れた様子で受付を済ませた。
はやさか?
優樹さんの苗字か。
再婚したら私も苗字が早坂になるのかー。
なんて考えていると女将さんのような方が部屋まで案内してくれた。
部屋に入ってもまだ誰もいなかった。
優樹さんはまだ来てないんだ。
大きなテーブルがあり、椅子が7つ並んでいた。
片方に4席、片方に3席が並んだいる。
3席並んでいる方の1番奥にお母さんが座った。
私はお母さんの隣、葵は私の隣に座った。
時間が経てば経つほど緊張が増していく。
葵の方をチラッと見るとなんだか険しい顔をしてた。
「葵?どうかした?」
心配になり声をかけると
「いや、なんで4席?って思って。」
……………本当だ。
普通は優樹さん1人だから1席だよね。
「俺の友だちに早坂って奴がいるんだよな。
………いや、気のせいか。」
……?
急に葵の友だちの話して、何か関係あるのかな?
早坂ってそんな珍しい苗字でもないしね。
そんなまさかがね。
………ないよね?