平凡で変わらない毎日が崩壊し始めました。



 「どうぞー」と優樹さんがリビングの扉を開けて、私と葵とお母さんはその後ろを着いて行く。

 リビングには3兄弟が居て、引っ越しのお手伝いをしてくれるらしい。

「部屋は決まってるんですか?」

 葵の質問に優樹さんが

「1階はリビングとダイニング、お風呂場があるから部屋はないんだ。
 だから、2階には茜さんと僕、葵くん、美雷の部屋があって、3階には翠ちゃん、空桜、望海の部屋があるよ。」

 へー、お家大きいなー。

 今まで、三兄弟と優樹さんだけでこの大きな家に住んでたんだ。

「よし、じゃあ荷物を運んで行こうか!」

 そう優樹さんが言うと家の前に止まっているトラックから荷物を運び出し始めた。

 葵とお母さんはかなり荷物があるから優樹さんや美雷さん、望海くんが手伝ってくれていた。


「………荷物、貸して。手伝う。」

 ービクッ
 
「………あ、ありがとうございます。
 ……でも、大丈夫ですよ。」

 空桜くんはどこにいるのかな?と思ったら、真後ろにいた………。

 びっくりしたー。

「いいから。」

 そう言って空桜くんは私のダンボールを持ってくれた。

「他には?」

 ………怖い。

 やってくれてることはとても優しいのに淡々とした話し方が尋問みたい………。

「……無いです。」

 今、空桜くんが持ってくださっているダンボールが私の全ての荷物です。

「少なっ。」

 あ、やっぱりそうなんですね。