平凡で変わらない毎日が崩壊し始めました。



 旅館についたら女将さんが
「もうお相手の方はいらしてます。」と言って部屋まで案内してくれた。


 父さんは襖を開いて中に入って行った。

 俺たちも続くように中に入って行った。

 目を合わせないように俯きながら先席に座った。

「空桜?」

 聞こえるはずのない声が聞こえてしまい顔を上げた。

「葵?」

 ………何でここにいるんだ?

 しかも隣には長い前髪で厚い眼鏡をかけた女も座ってた。

 ほとんど顔は見えないし、パッと見た感じ第一印象は『地味』だった。

 
 まさか、葵がいつも言ってたかわいい姉ってこいつのこと?

 お世辞にもかわいいって感じではないな。

 芋っぽいし………。


 でも、こいつが話している所を見て葵と似てるなー。とは思った。

 顔とか印象は全然似てないけど。


「茜さん、翠ちゃん、葵くん。
 一緒に住まないか?」

 そう父さんが行った時、少し不安だった。

 まだ、相手が一緒に住むことを承諾してないのに、話を進める父さん。

 一旦ストップをかけた。

 そしたら、今まで見たことないぐらいオドオドしていた。

 朝からテンションが変だったのは緊張してたから?

 父さんが緊張するなんて珍しいな……。

 なんて思ってたら、目の前で蒼の姉ちゃんがおかしそうに笑っていた。

 ………なんか、かわいい?

 さっきまで料理を食べてばっかだったけど、何だか笑っている姿に目を奪われた。

 葵がかわいいって言ってた意味が少しだけわかった気がする。

 

 
 俺は女が苦手だし、そもそも男とも限られた人としか話さないし。

 でも、葵の母さんは俺たちにも気を遣ってくれるし、葵の姉ちゃんも葵の家族だから、まともな奴だろう……。

 まぁ、そもそも葵の姉ちゃん、高校入試に受かるのか?

 そんなことを料理をもぐもぐ食べながら考えた。