翠side



「ただいまー。翠、久しぶり。」

「おかえりー。葵、身長伸びた?」


 今日はゴールデンウィーク 


 双子の弟の葵が家に帰ってきた。 


 普段、葵は家から離れた頭のいい私立の学校に通ってるので寮生活。

 葵は頭がよくて、バスケが上手で、おまけにイケメンで、自慢の弟だ。


「母さんは?仕事?」

 そう聞いてくる葵に

「買い出しに行ってるよ。」

 と答えた。

 そして、お母さんが帰ってくるまでお互いの近況を報告し合った。

「受験いやだねー。」

「俺、中高一貫だから受験ないもん。」

「羨ましい。てか、バスケの引退試合はいつ?」

 などなど

 そしたら、お母さんも帰って来て、葵の買ってくれたお土産を開封しながら話した。

 
久しぶりに家族みんなで集まって家族団欒、って感じだった。

 
 お母さんの発言がなければ...........。

「お母さん再婚したいなー、って思ってるの。」


 え、今なんて?お母さん今なんて言った?

 待って待って。どうして?急すぎない?
 
 てか今お土産の話してたよね。
 
 そんな話じゃなくない?
 
 

 何秒経っただろう。

 私と葵は唐突な話についていけず、脳内でパニックを起こし、凄い顔をしていたと思う。

 あまりに子供たちが反応せず

 タイミング間違えた。

 そもそも再婚とか嫌だよね。

 とでも言いたそうな真っ青で悲しそうな顔をしているお母さん。

 お母さんの顔を見た瞬間に思った。

 違うよ。別に再婚に反対なんかしてない。


 私の家は母子家庭だ。
 
 父親はすごくいい人だったらしい。
 ただ、ある日を境に人が変わったように暴れ始めたそうだ。
 
 それでお母さんは私たちを連れてお父さんの家から出て行った。
 
 そして、私たちがそこそこ大きくなったら会社の秘書としてバリバリに働いた。
 
 ただ、休日には遊びにいろんなところに連れて行ってくれた。

 そんなお母さんが私は大好き。
 
 再婚したいならして欲しい。

 今まで私たちのことばかり考えてたのだからお母さんはお母さんの幸せを見つけて欲しい。

 本当にそう思った。

「お母さん、私はいいと思うよ。お母さんが幸せならそれでいいと思うよ。」

 再婚しても私と葵のお母さんはお母さんだけだから。

「うん、俺も別にいいと思うよ。
 てか、どんな人なの?」

 葵もお母さんの再婚には反対ではないらしい。
 
 むしろ乗り気。

「本当に?本当にいいの?」
 
 お母さんが涙目で私たちに聞いてくる。


「「もちろん!」」

 さすがは双子。
 
 セリフもタイミングもお母さんが大好きなのも一緒だ。