それでもすぐに答えられなかったのは、脳裏に尚が走り抜けたから。

「月菜!」

やっぱり、尚は月菜ちゃんのことが好きなんだろうか。

「帰って水飲もう、な?」

「やだぁ!稔先輩といるの!」

ヤダヤダとぎゅっと力強く抱きしめられる。

その姿が愛おしくて、でも尚の顔をまっすぐ見られない申し訳なさが心の中を占めていく。

「月菜ちゃん、どうしたの?」

「この子が酒入りのチョコ、気付かずに食べちゃったって。酔っ払ったんだな」