「尚くん!」

先生に注意されてしまうほどの全力ダッシュで階段を駆け下りると、まだ教室に入る前の尚くんと稔先輩の姿。

助かった……。

「え、月菜?どうした?」

肩で息をしながら近寄る私を見て、尚くんは少し焦っているように見える。

「体調悪い?なんか嫌なことあった?」

頭に手を置いて、心配そうな目で私を見つめる。

「ジャージ、貸してほしいの」