背中まで伸ばしたサラサラの黒髪(染めるのと結ぶのが面倒なだけ)、なにもしなくても長い睫に、ぱっちりとした二重。

 それに加え、両親ともに背が高いせいで、170センチ近くまでムダに伸びた身長。

 街中を歩いていて、モデルなんかにスカウトされたこともあったけど、そもそもオシャレになんか興味ないし、中学校では『中身は男の残念美少女』なんて陰で言われてた。

 でも、あたしは別に男になりたいわけじゃないし、美少女になりたいわけでもない。

 どうしてあたしはあたしじゃダメなの? って、『中身は男の残念美少女』って言われるたびに、なんだかモヤモヤしてた。

 まあでも、なんだかんだ言いつつも、小学校からの付き合いの一花はあたしのことを一番わかってくれてるから、なにを言われても「はい、はい」って流せるし、あっちはあっちであたしがつれない態度を取ってもあんまり気にも留めてないみたいだから、一緒にいてほんと楽なんだよね。