「……一花。おねがい。デートコーデして」

 一花の袖をきゅっとつかむと、あたしは絞り出すようにして懇願した。


 だって、こんなのはじめてだし。

 はじめて由人先輩とお出かけするのに、いつものTシャツとジーンズなんて格好っていうわけにいかないじゃない?

 できれば、由人先輩をあっと驚かせたい。

 だって由人先輩、あたしのこと、男みたいって思ってるんだもん。

「するする! うわぁ~、マジか~。陽菜もついに目覚めたのね。お姉さんはうれしいよ」

 うんうんとひとり大きくうなずく一花。

 同い年の姉を持った覚えはないけども。