「由人せーんぱいっ。ホワイトデーのお返し、もらいに来ました」

「あー……そのことなんだけどさ。やっぱなしで」

「えーっ。四倍返ししてくれるって話はどうなったんですかぁ?」

 わざと甘えたように言って、ちょっと膨れてみせる。


 今日で最後なんだし。ちょっとくらいウザい女を演じたっていいよね?

 その方が、由人先輩だって、気兼ねなくあたしと別れられるだろうし。


 その代わり——絶対に悟られるな、この寂しい気持ちだけは。

 笑ってお別れするって決めたんでしょ?

 しょせん、あたしたちはウソの関係なんだから。