笑顔で平気なふうを装ってはいるけど、自分でもわかってる。

 こんなのカラ元気だって。

 由人先輩と、こうやって登校できなくなるのを寂しがってる自分がいる。

 連絡先も知らない。

 卒業しちゃったら、本当に会えなくなっちゃうんだ。

 だけど、そんなの当然のこと。

 だって、あたしはただの虫よけにすぎないんだから。


 そうやって自分を偽ったまま、由人先輩の卒業式の日を迎えた。

 今日さえ無事に乗り越えれば、明日からは今まで通り。

 由人先輩と知り合う前の、いつも通りのあたしに戻れるんだ。

 洗面所の鏡の中の自分をじっと見つめ、パンパンっとほっぺたを軽く叩くと、「よしっ」と気合を入れた。