カレシにおめでとうを言いたいという一花に付き合って、選手が解散になるのを一緒に待っていたら、一花のカレシと一緒に、由人先輩もこっちに歩いてきた。
「どうだ? ちょっとは俺のこと、見直したか?」
上機嫌で、イシシッと由人先輩が笑う。
「なっ……なに言ってんですか」
「おまえには、この前恥ずかしいとこ見られちまってるからな」
そう言って、期待を込めた目で由人先輩があたしのことを見てくる。
これ、なにか言わないと終わらない感じ?
「お……おめでとうございます」
「それだけ?」
「かっ……こよくみえました。ちょっとだけ」
「ふはっ! そっかそっか。そりゃよかった」
うれしそうに笑うと、「おーい、佐野、山本、帰るぞー」とチームメイトの呼ぶ声に振り返り、「おー、今行く」と返事を返す。
「そんじゃあな」
「はい。おつかれさまでした」



