あー、はい。キタコレ。

 あたしと由人先輩が付き合いだしたらしいっていうウワサは、秒で学校中に広まった。

 ま、わかってたけどね。

 そして今、あたしの目の前には、想定の範囲内だけど、『あー、こういうのって本当にあるんだー』っていう光景が広がってる。

「ねえ、佐野くんのサッカーの邪魔すんの、やめなさいよね」

「なんのことですか?」

「あんた、佐野くんと付き合ってんでしょ? 朝、一緒に登校するとこ見たって証言が取れてるんだから」

「そーですけど、なにか問題でも? あたし、由人先輩のサッカーだけは邪魔しないように気を付けてるつもりなんですけど。練習に押しかけてワイワイ騒ぐあんたたちの方が、よっぽど邪魔してません?」

「っ……! サッカーに集中したいからって、今までカノジョ作らなかった人が、急に付き合いだすなんておかしいでしょ。やっぱりあんた——」

「あのさあ。こーいうことされんのが、一番迷惑なんだけど」