「で、最後にx=23.4を代入して見ると」


湊は教科書を右手に持ちながらノートに分かりやすくペンで書いた。


「・・・24」

「正解。じゃあ次は・・・」

「(カッコいい・・・)」




ペンを持ちながら、私の目は眼鏡姿の湊に目が行ってしまう。

整った顔のパーツに白い裸、カッコいい顔付きで教科書を見つめる姿が何よりもヤバイ。



「優花・・・話聞いてる?」

「湊、学校でも眼鏡してるの?」




勉強を忘れ、私は湊に質問した。
  



「普通にしてるけど」

「カッコいい」

「ありがとう。で、問一は」




スラッと湊は普通に返し勉強に戻った。



"カッコいい"って湊に何回も言ってるのに、芸能界に入ってるせいか、慣れているせいか湊は嬉しそうにはしない。


「湊にトキメキはないの?」


私は負けず湊に質問した。


「え?」

「ドキッ!とか!キュンッ!とか!普通の男子はカッコいいって言ったらキュンキュンするって少女漫画にあったわ!」

「それ絶対に逆だと思うけど」

「父様が言ってたわ。カッコいいって言えば男子は嬉しそうにするって!なのに湊は嬉しそうじゃない」

「嬉しいけど」

「本当に?」

「・・・はぁ」


すると、突然湊は私の左耳に顔を近づけた。


「"花嫁にカッコいいって言われたら嬉しくなるに決まってんだろ"」


!?


イケメンボイスとカッコいいセリフに鼓膜が震え、力が一瞬にして抜けた。



「・・・勉強は?」

湊は左手に持った教科書を机の上に置いた。


「出来ない」


シャーペンを握ることでさえ出来ない。


「・・・今度は休憩なしの絶対2時間以上な」