昔の私の夢はヒロインになること


彼氏は誰からもキャーキャー言われ、運動神経、容姿端麗、頭脳明晰を持った王子様



少女漫画のように恋をすることが何よりも夢であった。




運がいい事に神様は私に夢であった王子様(北大路湊 キタオオジ ミナト)を私の婚約者にしてくれた。


一方、私(天野優花 アマノ ユウカ)はというと・・・





天野優花 中学1年生




「・・・」



私の好きな物は少女漫画、恋愛映画。その為病室には、病室とは思えないほどの少女漫画と映画を見るためのスクリーンが置いてある。



私の家は資産家であり、私はその令嬢。身体には困っているものの身の回りには困っていなかった。

  



コンコン



「優花ー起きてる?」


「湊!」


私立中学の制服を着た中学2年生湊が病室に入ってきた。


北大路湊の親は日本一と言われるほどのホテルチェーン北大路家の御曹司で湊は人気子役モデルと生徒会長をしている。


父親同士の仲がいい事と長年の友達のせいか、私達の関係は私が5歳の時に決まっていた。


 

「今日は何?」



鞄を椅子に降ろし、湊は私が読んでいた漫画を手に取った。



「少女漫画。不倫された妻が夫に復讐する話よ」



「・・・」



湊は一瞬、引いたような目で私を見た。



「湊は今日の学校何したの?」



「今日はヴァイオリンの発表会とドイツ語のスピーチかな」


湊の通う学校は小中高一緒のエスカレータ式お金持ち高校で敷地面積や教育はかなり充実している。
 



「ヴァイオリン?私も湊の演奏聞きたい!」
 



「次、来たときに聞かせる。花替えるけどいい?」



「勿論」




湊は週に一回、違う花を持ってきてくれる。


 

「その花って桔梗?」




「正解。仕事でスタイリストの人がオススメしてて買ってきた。花言葉が"永遠の愛""変わらぬ愛"って言葉で綺麗だろ?」




ドキッ




「くっ、動画とったらよかった!勿体無い!」





「二度と言わねーから。じゃあそろそろ勉強するぞ」



湊はそう言って鞄から勉強道具を出し眼鏡を掛けた。



家庭教師がいても私は全く勉強に集中していなかったので、今の家庭教師は湊になっている。