前回は初めてとあって少し控えめだった優也は、今日は慣れた様子でのびのびと遊んでいる。

2歳半の男の子らしく、体を目一杯動かし、追いかけっこや戦いごっこに付き合う小雪も汗をかくほどだった。

16時45分になると、もう一人の保育士がナーサリーに入って来た。

「こんにちはーって…凄いわね、小雪先生」
「あ、美和先生。お疲れ様です」

ハアハアと肩で息をしながら、小雪は先輩の保育士に挨拶する。

美和は、子育ても一段落したベテランの40代の保育士で、主に0歳児や1歳児の担当をしている。

赤ちゃんの保育は小雪ももちろん出来るのだが、やはり実際に子育て経験がある保育士の方が、預ける側も安心するらしい。

それに、優也のように元気な遊びをする子には、やはり若い先生が良いという事で、小雪が担当になる。

(そ、それにしても、ほんとに元気…)

「優也くん、ちょっと休憩しようか」

もうすぐ、次の予約の若菜がやって来る。

新規のお子様で、月齢は13ヶ月。
つまり、1歳1ヶ月だ。

優也のこのパワフルさは、小さな若菜を驚かせてしまうだろう。

「優也くん、今度はお絵描きしようか」

そう声をかけても、まるで耳に入っていないようで、走り回ったままだ。

「美和先生、私、優也くんと庭園に行って来ますね」

小雪は、優也と手を繋いでナーサリーを出た。