「えー、まずこの2回目のミーティングを迎えるに当たり、ここにいるメンバーから、様々な情報や資料を寄せて頂きました。どれも貴重な資料でしたので、コピーして皆様にもお配りしました。今日はこれを見ながら、話を進めていきたいと思います。総支配人」

話を振られ、一生は皆を見渡す。

「私からはまず、資料の2ページ目の説明をしたい。社員全員に、2度目のアンケートを取った時の回答結果だ」

皆は手元の資料をめくる。

『このプロジェクトに興味があるか』
という質問に対しての、社員の回答がグラフになっていた。

「私は当初、このプロジェクトを進めても、実際に引っ越しを決める社員は、多くても3割くらいかと思っていた。仕事とプライベートはきっちり分けたい、休日に職場の人とバッタリ会いたくない、という社員も多いだろうからと。ところがこのアンケート結果を見ると、プロジェクトに興味があると答えた社員は約8割、良い条件なら引っ越しを検討したいと答えた社員も、7割いた。これは、私の予想を遥かに上回っている」

一生の話に、今井が頷いて口を開く。

「私の周りでも、はやりこのプロジェクトに興味がある社員が多いです。どんな感じなのかと、私に聞いてきたりしますし」

福原も同意した。

「そうですよね。若い人は、仕事とプライベートのオン・オフを切り替えたいと思うでしょうが、我々の年代になるとねえ。そんな事はもう思いません」

そして田口が、妙に高い声を出す。

「一人で年老いていくのは嫌じゃー。みんなと日向ぼっこして、お茶でも飲んで暮らしたいー」
「田口部長、仕事はどうしたんですか?」

加藤が笑いながら突っ込み、皆もあはは!と笑った。