その6
リエ



笑っちゃったわ

完全、狂ってるって…

”前回”も相馬豹子こと本郷麻衣から、高原亜咲襲撃の計画を聞いて、思わずのけ反っちゃったけど…

”今回”はちょっと、これ…

ヤバイって、マジに


...



「リエ、ひょっとして、尻込みか?まあ、手当ては十分に”相談可”だ。トイレでそろばん弾くか?」

豹子、一段と交渉上手になったわ

「あー、私としては電卓で望みたいね」

「わっはっは…」

みんな歯切れのいい笑い声で、私の心の芯も弾けるわ


...



それにしても…

この計画が実際に、”そのまま”実行されれば…

警察、いくらなんでも抑えきれないんじゃない?

でも、豹子の顔には”だいじょーぶ!”と書いてあるけど

まあ…、コイツのミッションには、いつもながらゾクゾク感っていうのがあるんだよな

考えてみれば、私が危険なスタントアクションに魅せられ、海外に出る決心をしたのと同じ感覚かもしれない

なら、やってやるか…

あん時もそうだったけど、やってのけたら痛快極まるしね

この面子なら、エイヤーでいってやるかって気にもなってくるし…

いや…、もう少し念押ししておこう…


...



「豹子さん、あんた…。そんなにボコボコにされて、土下座まで晒してさ…。それを目の当たりにした私らが、どういう感情になるか計算してる訳?それって、スタンドプレイか、それとも…」

豹子は答えたわ

「スタンドプレーじゃないって言ったら嘘になるよ。私はいつだって、そんなもんだし。晒せるもんなら晒してやるさ。さあ、ご自由にどうぞだ。テメエのあらん限りは出し切ってやるって。それで、どうですか、どうなんだよってね…」

コノヤロー、またまたいい引っぱり具合だわね(苦笑)

「リエ、私はやるよ。”これ”やれたら凄いじゃん、単純に。祥子、アンタはどうなのよ?」

左隣の真樹子さんが、久々に凄みを効かせてきてるわ

「やるよ。やってやる…」

津波祥子は両腕をソファーにもたれて、静かに答えた

「リエ、私は麻衣のように頭は切れないが、この計画、あんたが参画しないことには勝算ないと思う。私は負け戦はゴメンだ。だから、力ずくでもあんたの首、縦に振らせる」

ハハハ…、包囲網ってヤツかな、これ