「これ」

手渡されたのは、素敵な革のパスケースだった。

「あんまりうまく出来なかったけどさ」

「えっ、これシュンのお手製なの!?」

「うん。バレンタインのお礼のつもりだけど、不恰好だし、無理して実際に使わなくても…」

「ううん、使う!新学期から毎日。いや、明日からでも。嬉しい…ありがとうね!」

「よかった。元々、あれこれ作ることは趣味でやってたけど、革細工は初めてだったから、仕上がりがビミョーなんだけど」

「そんなことない!市販品だと思ったもの。そっかぁ…オンリーワンなんだね、これ」