言いながら、自分はなんて中途半端な状態なんだと思ってしまった。

なんで私は好きかどうかさえわからない、曖昧な人間なんだろう。

夏海くんはいつもあんなにはっきりした気持ちをくれているのに。


「先輩は・・・誠実ですね」


自己嫌悪に陥りそうになっている私の耳に、ふいにそんな言葉が入ってきた。

須川さんが優しい笑顔で私を見ている。


「ぶっちゃけ、けんちゃんから告られたらだいたいの人はオッケーしそうじゃないですか?何よりもまず顔が良すぎるんですよね、あの人」


学校での夏海くんを取り巻く環境を思い浮かべて私は納得する。

夏海くんのことを好きな女子はたくさんいるし、あんなにかっこよければ、好きじゃなくても付き合ってみたいと思う人がいてもおかしくないのかも。


「あの外見ならではの嫌なこともいろいろあるみたいで・・・。だから先輩が外見とかじゃなく、ちゃんとけんちゃんの気持ちに向き合って考えてくれてるの、素敵だなって思いました」


そう言った須川さんの笑顔はとてもあったかくて、私の胸でくすぶっていたモヤモヤがゆっくりと溶かされていく。

こんな私でいいって言ってもらえたみたいで嬉しい。


夏海くんも、『思ったことそのまま話して』って言ってくれてたけど、須川さんもそう思ってくれる人なのかな。

もしかしたら・・・夏海くんに何かお返しできないか悩んでること聞いてもらえる・・・?

夏海くんのことをよく知ってる人だし、相談してみたい・・・!