「・・・騒がしくてごめん」


須川さんの後ろ姿が小さくなったころ、夏海くんがポツリと言った。


「う、ううん、元気で可愛い人だね、須川さん」

「可愛いかどうかはよくわかんねーけど、元気すぎてほんとうるさいんだよな、昔から」


夏海くんは若干眉間にしわを寄せたような表情になる。


「まぁ良いとこもあるから。よかったら今度相手してやって」


その口ぶりがまるで須川さんのお兄さんみたいに思えて、私はなんだか温かい気持ちになった。


「うん、仲良くなれたら嬉しい」


なんだか太陽みたいにキラキラしてて、笑顔が可愛かったな。

私はくるくると表情が変わる元気いっぱいだった須川さんを思い出して、自然に笑顔になっていた。


「・・・俺は?」

「えっ?」


ふいに夏海くんが問いかけてきたことの意味がわからなくて、私は「?」マークを頭に浮かべる。


「俺と仲良くなるのは嬉しくねーの?」


そう言った夏海くんの表情はなんだか拗ねているように見えて・・・私は胸がぎゅっとなってしまった。


「う・・・嬉しいよ・・・?」


少し照れくさかったけど、仲良くなりたいと思っているのは本当だから私は素直に伝えた。

チラっと見上げると、夏海くんは嬉しそうに私を見ている。


「じゃあもっと頑張るから、覚悟しといてね」


そう言った夏海くんはほんのちょっと意地悪そうな顔で笑っていて。

いつもより少し大人っぽく見えるその表情が、私の鼓動を速くさせる。


か、覚悟って、いったい何を覚悟しろと言うのですか?

これ以上頑張られたら心臓がもたないかもしれないよ・・・。