その日の放課後、二年生なったばかりでまだ下校時間が早いので、私は友だちの植松楓(ウエマツ カエデ)ちゃんの席で少し話をしていた。

今はまだ出席番号順の席で、楓ちゃんの席は廊下側の前から三番目だ。


「もうすぐ委員会決めだねー」


楓ちゃんは『ふぅっ』とため息をつきながら委員会のことを話題に出した。


「二人とも前期のうちにやっちゃうの?」


もう一人の友だち、吉川瑞希(ヨシカワ ミズキ)ちゃんも話に入ってきた。


私たちの学校では、委員の任期は四月から九月までの前期と、十月から三月までの後期で分かれている。

どちらかの期で必ず委員会、もしくはクラス内の係につかないといけないことになっている。


「めんどうだから前期で終わらせとこかなって。優依は?」

「私も前期のうちにやっとこうかなぁ。去年と同じ図書委員がいいんだけど」


私は一年生のときに、前期で図書委員をやっていた。

本が好きだし図書室は静かで居心地が良いから、それなりに楽しく委員活動ができた。

だから今年も図書委員できるといいなぁ。


「私はなんでもいいから、とにかく目立つ活動にはなりませんように~」


そう言って必死な顔で手を合わせる楓ちゃんが面白くて、私と瑞希ちゃんは顔を見合わせて笑いあった。