でも・・・。

動いていない頭でも、これだけはわかる。

私は夏海くんに相応しい女の子じゃない。

夏海くんのことを好きかどうか考えたこともないほど、住んでる世界が違いすぎる。

自分が夏海くんの、かっ、彼女、になるなんて、とてもじゃないけど想像できない。

不釣り合いがすぎる、あまりにも遠い存在だ。


「・・・ご、ごめんなさい、夏海くんとお付き合いは・・・できません」


私は深々と頭を下げて、お断りの言葉を伝えた。

ううっ・・・まさか自分なんかが学年一のキラキラ男子にこんなことを言う日が来るなんて・・・。

あまりにもいたたまれなくて、いっそ夢であってほしいと思ってしまう。


「・・・そっか。なんで付き合えないのか聞いてもいい?」


夏海くんの声色が心なしか元気がないように感じて、私の胸がチクリと痛んだ。


「え、えっと・・・夏海くんは、その、遠い存在すぎて・・・お、お付き合いとか考えられない、です。」


私は回らない頭を必死で動かして答えた。


「でも、こんなふうに言ってもらったの初めてだったので・・・嬉しいです、ありがとう」


そう言って、私は顔を赤くしながら勢いよく頭を下げた。

あまりの混乱に気持ちが置いてきぼりだったけど、よくよく考えたら人生で初めて告白された男の子が夏海くんだなんて、一生忘れられない思い出になりそう。