どんな君も、全部好きだから。

エアコンが付いていなかったら滝のような汗をかいたんじゃないかと思うくらい、身体が火照ってどうしようもない。

でも自分の状態が気になりつつも、夏海くんの温もりを久しぶりに感じることができて嬉しい気持ちの方が上回ってしまったので、私はもう抵抗することを諦めた。

だって、終業式の日以来会えていなかったから。

ほぼ一週間ぶりの夏海くんにドキドキが止まらない。


「優依・・・」


ふいに優しく呼ばれて顔をあげると、夏海くんが甘い瞳で私を見つめていた。

吸い込まれそうなほど綺麗な瞳の中に、自分の姿が映っているのを見つけて胸が高鳴る。

もう夏海くんのこと以外考えられない―――




そのとき、


「賢斗~お茶持ってきたけど入っていい?」


突然コンコンというノック音と共にお姉さんの声が聞こえて、心臓が飛び出しそうなほど大きく跳ねた。

夏海くんは勢いよく私から身体を離すと、急いでドアを開けに行った。


「取りに行くっつったじゃん」

「なかなか来ないから、喉渇いてるだろうし持ってけってママが」


ドアの隙間から見えたのは美桜さんの姿だった。