どんな君も、全部好きだから。

「じゃ、手つなぐのは?それもイヤ?」


抱きしめることは諦めてくれたようだけど、続けてそう問いかけてくる夏海くん。

ま、またそんな甘えるような顔でじっと見てくるんだから・・・。


手をつなぐのも恥ずかしいけど、嫌かどうか聞かれれば・・・嫌じゃない。

むしろ、つなぎたい、かも。


私はふるふると首をふりながら小さな声で「いいよ」と答えた。

次の瞬間、夏海くんが私の右手に左手を絡ませてぎゅっと握った。

夏海くんに手を握られたことはあったけど、こんなふうに繋ぐのは初めて。

温かくて少し骨ばった大きな手が私の手を優しく包む感触。

誰かとこうやって手をつなぐこと自体もう覚えていないくらい久しぶりだけど、まさか自分に彼氏ができてその人と手をつなぐ日が来るなんて。

好きな人と手を繋いでいると思ったら緊張感が増してしまって、思わずつないだ手をガチっと固くしてしまった。

そんな私を見て夏海くんは嬉しそうに笑っている。

その表情も仕草も、つないだ手から伝わる熱も、何もかもが心臓に悪すぎて・・・。

このままじゃ私の寿命が縮んでしまうかも、なんて思わずにはいられなかった。