夏海くんにはいつも心からの笑顔でいてほしい。

嬉しいこと、楽しいこと。

これからもたくさん夏海くんにありますように。

きっと少し繊細で孤独な部分をもっている人だと思うから、寂しいときは誰かがそばにいてあげてほしい。


そんなふうに願いながら、私は気づいてしまった。

彼を喜ばせるのも笑顔にするのも、いちばんは私がいい。

気の利いたことは全然言えないかもしれないけど、彼が寂しいときは私がそばで寄り添いたい。

他の誰かにそれを託すんじゃなくて、私が彼の隣にいたい。


自信をもって好きだと言えるようにとか、堂々と隣に立てるようにとか。

いろいろ考えすぎていたけど大事なのはもっとシンプルなことだった。


夏海くんのいちばん近くにいるのは私がいい。

他の人じゃ嫌だ。


そんな自分本位な、だけど確かな想いにようやく気付いて目頭が熱くなる。

私はもうとっくに夏海くんのことが好きで仕方なくなっていたんだ。


たくさん幸せな気持ちをくれた夏海くんに今の私は何ができるだろう。

でも自分から関係を終わらせた私に、そんなことを望む資格はもうない。

二回も断ってからやっと自分の気持ちがはっきりするなんて・・・。


「もう・・・遅いよね・・・?」


私は溢れる涙をこらえることができず、そのまま頬を伝った涙がフローロングの床をポツポツと湿らせるのをしばらく見つめていた。