どんな君も、全部好きだから。

図書室での出来事の翌日、俺は付き合っていた先輩に別れを切り出した。

中学のときは誰かといつのまにか付き合っていることになってて、別れを言われるのも相手からだったから。

自分からこんなふうにケジメをつけたのは初めてだった。

先輩には泣かれたけど、もう俺はこれ以上この人と付き合うことはどうしてもできなかった。

会いたい。

また話したい。

どんな人なのか知りたい。

俺のことも知ってほしい。

そんなことを強く願ってしまう人に出会ってしまったから。


でもその願いは叶うことがないまま時が過ぎていくだけだった。

何度か放課後に図書室に行ってみたけど彼女には会えなくて。

そうこうしているうちに期末試験一週間前になって、委員会がない期間に入ってしまった。


いったん彼女のことは忘れてテスト勉強に集中しよう。

そう何度も自分に言い聞かせたけど、彼女のことが頭から離れる日はなかった。

誰かに対してこんなふうに思ったのは初めてで、これが恋だと気付くのに時間はかからなかった。