これで私と夏海くんはただのクラスメイトに戻った。

交わっていた二人の世界は、元の平行線へと戻る。

私を守る必要がなくなれば、クラスのみんなとの距離もきっと元に戻るだろう。

夏海くんには誰が見てもお似合いの素敵な彼女がすぐにできて。

私は今までのように平凡だけど特に不満もない日々を楽しく送る。


「最後にお礼・・・言えばよかったな・・・」


たくさん優しくしてくれて、嬉しい気持ちをくれて、こんな私のことを『そのままでいい』と温かく受け入れてくれた人。

きっと一生忘れられない人になるだろう。

こんな私が夏海くんみたいなキラキラした人に好きになってもらえたなんて、奇跡みたいなことだった。


涙に滲む夕暮れの街をぼんやり眺めながら、私はこれで良かったんだと自分に言い聞かせた。