夏海くんに返事をしよう。

これ以上待ってもらうべきじゃない。

そう決めてからすでに三日も経ってしまっていた。

球技大会の次の日からずっと、夏海くんは毎朝迎えにきてくれて、帰りも送ってくれている。

私のことを心配してくれているのは伝わってくるけど、夏海くんの負担を考えるとこれ以上登下校を遠回りさせるわけにはいかない。

でもどんなにお願いしても夏海くんは聞き入れてくれなくて。

私はどうすればいいのかわからなくなっていた。


「はぁ・・・」


金曜日の放課後。

いったん帰宅した後、私は月末から始まる期末試験に備えて数学の参考書を探しに書店に来ていた。

今日も夏海くんは家まで送ってくれて、申し訳なさが限界に達しようとしていた。


どうしたら夏海くんに送り迎えをやめてもらえるのかな・・・。


「・・・さん」


送り迎えも悩むけど、お返事も早くしないと。

このままじゃいつまでもズルズルしてしまいそうだから。


「早坂さん」

「!」


考え込んでいた私はふいに至近距離で名前を呼ばれて、声にならない悲鳴をあげる。


「ごめん、何回も呼んだんだけど」

「宮田、先輩・・・」


あまりの私の驚きぶりがなぜかツボに入ったらしい宮田先輩が、お腹を押さえながら笑いをこらえている。

私は恥ずかしくて顔が赤くなるのを感じていた。