どんな君も、全部好きだから。

「・・・夏海くん、なんで私のことなんて好きになってくれたのかなって思って。私は全然可愛くないし、夏海くんに・・・つりあってないし・・・」


言いながら、自分のネガティブな思考に惨めな気持ちになってきてしまう。

でも一度開いた口は後ろ向きな言葉を紡ぐのを止めない。


「わ、私より素敵な人なんて、夏海くんの周りにはたくさんいるし。こんな私、いつか・・・飽きられちゃうんじゃないかって・・・」


そこまで言った瞬間、ふいに私の視界が白くなった。

何が起こったのかすぐはわからなかったけど、どうやら私は夏海くんに抱き寄せられたらしい。

夏海くんの制服の胸元に私の顔がうずめられている。


「・・・そんなことあるわけねぇだろ」


すぐ近く、ゼロ距離で夏海くんの絞り出したような声が聞こえる。


「早坂しか・・・優依しかいないよ。俺、ずっと優依しか見てないよ」


訴えてくるようなとても苦しそうな声に、私の胸がきゅうっと締め付けられる。


「で、でも・・・私、ダメなところいっぱいで・・・」

「ダメなとこなんてあって当たり前だって。俺には優依のダメなとこなんて全然わかんねーけど、そういうのも全部含めて好きなんだって」


その言葉が『ありのままの私でいい』と言ってくれてるようで、涙があふれてくる。

いつもそうやって私のことを受け入れてくれる夏海くん。