柔らかな髪が日の光を受けて透き通っているみたいだった。


整った横顔も、前髪の隙間からのぞく長いまつ毛も、私には眩しすぎて。


この人のいる場所と私のいる場所は、決して交わることがないんだとそのとき納得した。


言葉を交わせたのは奇跡みたいなことで。


きっとこれっきりだって、当然のように思った。


だから、彼が私の存在を知らなくても、私と目が合うことがなくても、何も不思議じゃない。


彼と話した日のことを、私だけが忘れられないでいる。


ただそれだけのことだと思っていた。



あの日、あの時間までは。