トントントン、と誰かが肩を叩いている。
誰……?
うっすら目を開けると、見知らぬ男が上から覗き込んでいる。
「あ、起きた」
その顔が、さっきの金髪男とかぶって、さあっと全身から血の気が引く。
「ーーきゃあああッ!?」
思わず叫んで飛び退いた。たぶん、自分史上最高の瞬発力を発揮して。
「うわっ、ごめん。そんな驚かなくても。いや驚くか、ふつう。ごめんごめん」
と彼は謝りながら、さりげなく距離をとろうとする。
「あ、俺、全然まったくもって怪しいもんじゃないんで。女の子が駅前で倒れてるって報告があって、ここに来ただけ」
予想外の言葉に、私はキョトンとする。
「ほ、報告?誰から……?」
「うーん。ある筋から?」
「…………」
あ、あやしい……ものすごく。
私は、じとっと彼を見つめる。よく見れば、私と同じか少し歳上くらいの、人のよさそうな顔をしている。が、油断は禁物。簡単に知らない人を信用してはいけないと、数時間前に学んだばかりだ。
「一応コレ、免許証。こんなんで信用してもらえるかはわかんないけど」
「はあ……」
差し出されたそれには、たしかに目の前の人の顔写真があった。生年月日からすると、19歳。私よりひとつ年上だった。

そのとき、はっと大事なことに思い至る。こんなところでのんびりしている場合じゃない。
「わ、私、行かなきゃいけないところがあるんです!」
思わず身を乗り出してそう言うと、彼は目を丸くして尋ねる。
「そんな急ぎの用なの?どこ?」
「風見町です。そこで人と約束してるんです」
ふうん、と藤也は言った。
「それはよかった」
彼はにかっと笑って言った。
「俺もそこから来たから」
「え?嘘……」
「ほんとほんと。嘘ついてどーすんの」
だって、さっき桃香は、「私もそこに行くんだ」と言った。でもそれは、私を騙すための嘘だった。
この人の言うことが本当かどうかなんて、わからない。
「ていうか、この辺の避難所が、そこになってるからさ」
「避難所?」
そう、と彼は言った。
「家族や住む場所を失くした人たちが集まって暮らしてるんだ。もちろん、もとから住んでた人もいるんだけど」
「そう、だったんですか」
灰害は、人が多く空気が留まりがちな街中から広がっていくという。だから空気がきれいなこの辺りは、まだそれほど被害が進んでいないのかもしれない。

それよりさ、と彼が私の頭を指差した。
「その頭、まずどうにかしないと」
「頭?……いたっ!」
頭を触ると、ズキン、と強い痛みが走った。後頭部から額にかけて、乾いた血がべったりとこびりついている。
「そのままじゃ、ちょっとホラーっぽいよ?」
「すみません、お借りします……」
私はタオルを借りて、駅前のトイレに走った。
鏡に映った自分は、長い髪に血だらけの顔で、たしかにホラー映画に出てきそうだと思った。
頭や額にこびりついた血を濡らしたタオルで拭う。触れるとまだ鈍い痛みが疼いた。血まみれのタオルを返すわけにはいかないので、袋に入れてスーツケースに押し込んだ。
「じゃあ、よろしくお願いします。えっと……草壁さん」
トイレから戻って、私は改めて挨拶をする。
「藤也でいいよ、祈ちゃん」
と彼が笑って言った。
「なんかさ、俺ら、初めて会った気がしなくない?」
「え?」
私は首を傾げる。
「えっと、たぶん、初対面だと思いますけど」
「…………うん、まあそうだよね。ごめんいまの忘れて」
なぜか切なそうに言う彼の後ろを、ちょっと変わった人かも、と私は思いながらついていった。

「はいコレ、俺の愛車」
駅の裏側に停められた軽トラを指して、草壁藤也は堂々と言い放った。
「こ、これですか……?」
いったいどんな壮絶な場所をくぐり抜けてきたのかと言いたくなるほど、全身にダメージを負ったオンボロのトラックだった。かろうじて元が白色だったとわかるレベルで、塗装が剥げていたり茶色に錆びていたり黒ずんでいたりで、満身創痍という感じだ。
ていうか、これが愛車って、もしかしてこの人、運転ものすごく荒かったり……。
「一応言っとくけど」と、藤也がすかさず訂正する。
「俺が運転下手なわけじゃなくて、もともとこの状態で渡されたんだからね。俺は今のところ無事故なので。つっても免許とって1年だけど」
「あ、そうなんですか。よかった」
ホッと胸をなでおろすと、藤也がぷっ、と吹き出す。
「祈ちゃん、わかりやすくていいね」
「す、すみません……」
私は顔が熱くなってうつむく。
「じゃ、行きますか」
「よろしくお願いします」
「乗り心地は期待しないでね?」
エンジンをかけると、ブォォォン、と大きな音がして、軽トラがゆっくりと動きだす。
地図を見ると、今いる場所は、目的地までの中間地点を少し過ぎた辺りだった。
「安心して。ゆっくり行っても夜までには着くからさ」
と藤也が言って、私は「はい」と頷いた。
いい人だな、と思う。私が安心できるように、細かいことでも気遣ってくれるのがわかる。

「人、全然いないんですね……」
駅から少し離れたごく普通の街。大きめの商店街があって、学校やビルや公園があって、人が住んでいた形跡があるのに、どこにも人の気配がない。これほど静かな街を、私は初めて見た。小説ではよくゴーストタウンとかって出てくるけど、実際に目にすると、なんだか不気味な光景だ。
「まあ、この辺はね。……この前の霧の日に、大きな被害にあったから」
藤也は前を見たまま、悲しそうに言った。
1ヶ月前の霧の日。電波が途切れ、多くの人が灰に消えた。それでもまだ、生き残っているところもあった。

――この辺はまだ運がよかった。かろうじて住めるんだからな。

と、お父さんは言った。
運がよかったなんて、私は到底思えなかった。いつ自分にその悪魔の粉が降りかかるのか、わからないのだ。
祈ちゃん、と声をかけられて、ハッとする。
「今から山道入るから、覚悟しといて」
「えっ?」
このオンボロトラックに乗り心地なんて元から期待していないけれど、確かに覚悟が必要なほど、それは私の予想をはるかに超えていた。
「うわっ」「ひゃっ」「いたっ」
ガタゴトと大きく車体が揺れるたび、私は声をあげる。車に乗っていてお尻が痛くなるのなんて、初めてだ。
「なんかすいませんね。迎えがこんなんで」
藤也が申し訳なさそうに苦笑する。
「い、いえ、送ってもらえるだけでも……」
「今からもっと凸凹道通ってくけど……大丈夫?」
大丈夫です、と答えたかったけれど、慣れない揺れで完全に酔ってしまった。
「ごめんなさい……」
「いいって。ちょっとここらで休憩しようか」
山道の途中に藤也は軽トラを停めた。

車を降りると、ひやりとした空気が肌に触れる。
8月なのにこんなに涼しいなんて、と奇妙な心地になる。相変わらず風はなく、太陽の光に飢えた木々や植物は、どこもかしこも元気がない。
私の知っている夏は、もうどこにもないんだ。
もはやまともなことなんてどこにもないけれど、それでもやっぱり、暑い暑いと嘆いていた1年前の夏が恋しくなる。
私はスーツケースからお茶を取り出して、ぐびぐびと飲んだ。バッグごと奪われてしまったので、これが最後だった。
「そういや、今さらだけど、なんであんなとこで倒れてたの?」
「それは……」
桃香に声をかけられてからの一部始終を話すと、
「ひどいな」
と藤也は顔をしかめた。
「私が、簡単に信用したのがいけなかったんです。同じくらいの歳の女の子だったから、つい安心しちゃって」
はじめから私の持ち物が目的だったなんて、考えもしなかった。なんの疑いも持たずに話していた自分が馬鹿みたいだ。
「違うよ。君は少しも悪くない。騙すほうが悪いんだ。そんなひどい奴ばかりじゃないよ」
藤也の優しい言葉に、ありがとうございます、と私は答えた。
「その女の子に言われたんです。私のしようしてることが、危ないって」
もしユキが、危ない人だったら。私が思い描いているような人とは全然違ったら。
私はあまりにも疑うということを知らなさすぎた。
だけど――
「だけど、その人だけは、信じたいと思うんです」
たとえ顔も本名もわからなくても、私が4年間毎日のようにやりとりしてきた彼は、きっと大丈夫だって。
あれからなんの連絡もないけれど、何が起こるかなんてわからない世界だけれど。
大丈夫、私たちは、きっと会える。
私は信じることにした。信じなければ、前に進めなかった。
「きっと会えるさ」
と、藤也は年齢よりもずっと大人っぽく見える笑みを見せて、言った。
「そいつは必ず君に会いにくる。俺が保証する」
あまりにもきっぱりと断言するから、私は思わず笑ってしまった。
「なんで藤也さんが?」
「さあね。よし、もうひと踏ん張りするかー」
藤也が伸びをして軽トラに乗り込む。
「あ、この先、今までの倍くらい揺れるから」
「覚悟します……」
私はぶるると震えて、助手席に乗り込んだ。



夜が例年よりもずっと早く訪れるようになった。
本来なら夏真っ盛りのこの時期、陽が落ちるのは7時を過ぎてからだ。8時になっても、まだ明るいところがあるくらいなのにーーそれはもう、過去の話。今は5時を過ぎた頃から陽が落ちはじめ、1時間もすれば辺りは真っ暗になる。
太陽が見えなくても夜はちゃんとくる。そんな当たり前のことですら不思議に思えてくるほど、非日常的な景色が日常になりつつある。
長い山道を抜けて町に入る。視界が開けると、目の前が少しだけぱっと明るくなった。
わあ、と私は驚きの声をあげる。
「すごい、人がいる!」
「あはは、遭難者みたいな感想だね」
「あっ、すみませんつい……」
通りには普通に人が行き交い、それほど多くはないが車の通りもある。私の地元よりも、その小さな町はずっと活気づいて見えた。
私は、すごいすごいといちいち子どもみたいに声をはしゃいでしまう。今日1日、地元を離れてからほとんど人が生活しているところを見ていなかったから、安心したのもあった。
「びっくりした?」
藤也が少し得意げに言った。
「……びっくりしました」
「だよな。俺も、初めてここに来たときは驚いたよ。まだこんな場所があったのかって。オアシスでも見つけたのかと思ったよ」
でも違ったんだよな、と藤也は言う。
「人の力で、この町はまだなんとか正常を保ってるんだ。いつまで持つかなんてわかんねえけど、それでもみんな、自分にできることを見つけて一生懸命頑張ってるんだ」
私は薄暗い町並みを見つめた。喫茶店の店先で花に水をやる優しそうな女の人。鉄骨を運ぶ筋肉質な男の人。公園で遊ぶ子どもたち。もうすぐ終わってしまう日を名残惜しそうに、でも平和に過ごしてしまう人々の姿が、そこにはあった。
ここは、家族や住む場所を失った人たちが集まって暮らしている避難所だと、藤也は言った。
あの人も、あの子たちも、何かを失ってここに来てるのかな……。

軽トラは細い道を慣れた様子ですいすい通り抜けていき、アパートのような二階建ての建物の駐車場に停まった。
「なんとか、陽が落ちきるまでに間に合ったな」
ギリギリだったけど、と藤也は言いながらエンジンを切る。ガソリンももう少しでなくなるところだった。
「本当にありがとうございました」
私は深々と頭を下げる。頭を下げるくらいじゃ全然足りないけれど、残念ながら今の私は、自分の着替えくらいしか持っていなかった。
「いいって。それより、これからどうする?泊まるところなら、頼めばどっかあると思うけど」
「その前に、行きたいところがあるので……」
教会に行きたいと言うと、「そっか」と藤也は笑って頷く。
「けどそろそろ暗くなるし、送ってこうか?」
「いえ、散策がてら、歩いて行きます」
陽が落ちるまでまだ少しありそうだし、この町を見て歩きたくなった。それに、心の準備もしておきたいし。
「オッケー。じゃ、ちょい待ってて」
藤也がボンネットの引き出しからペンとメモ用紙を取り出して、簡単な地図を書いてくれる。
「はい。その広範囲の地図じゃさすがにわかんないでしょ」
「ありがとうございます……!」
「いえいえ。俺ココに住んでるから、困ったらいつでも来てよ。他に仲間もいるからさ」
私は運がよかったんだ、とこのとき初めて思った。
騙されて持ち物を盗られてしまったけれど、その後でこんなにいい人に助けてもらえた。
藤也が来てくれなかったら、今日中に着けなかったどころか、途中で行き倒れてしまう可能性だって充分にあったのだ。
「このご恩は必ず……っ」
「あはは、いいって。それより早く会いに行ってやりなよ。そのためにここまで来たんだろ?」
私はもう一度深く頭を下げて、藤也と別れた。

ひとりになって、改めて私はぐるりとあたりを見渡した。そして深く、息を吸った。

――変わってない。

そのことに、まず驚いた。
この変わり果てた世界でーー人が次々いなくなり、土地が腐敗し、木も草花もほとんどが枯れ果てたこの世界で、
この町は、奇跡的なくらい、4年前と少しも変わってなかった。
空気が澄んでいて、木や草花が生きていた。流れる川は透明で、人々の表情もどこか穏やかで、まるで世界の終わりなんて感じさせないようなのどかで鮮やかな景色が広がっていた。
この土地は特別なんだ。そう思った。
特別だから、みんなが自然とここに集まってくるんだ。



太陽も風もなく、空気はひんやりと静かで、灰色の空に、夜の手前の薄闇が混ざりはじめている。
前から人が歩いてきた。おそろしく背中が曲がっているおじいさんだった。おじいさんは私の目の前で立ち止まり、背中を曲げたまま顔だけをあげた。
「駅で倒れてたっていうのは君かね?」
おじいさんは、小さな目をしょぼしょぼさせながら言った。
「あ、はい……」
もしかしてけっこう噂になってる?
恥ずかしさを覚えながら、私は答えた。
「それなら、藤也はもう会ったのかな」
「はい。ここまで送ってもらいました」
そうかそうか、とおじさんはどこか楽しそうに頷く。
「報告を受けた途端、真っ先に迎えに行くって言ってね」
「そうだったんですか」
「いい子だよ。あれでなかなか男前だし気も効くしね。ひとり身みたいだから、君みたいな可愛い子が仲良くしてくれたら嬉しいんだけどねえ」
「は、はあ」
なんだか親戚のおじさんみたいな口ぶりだ。慕われてるんだな、というのが伝わってくる。
あたりが少しずつ暗がりを増している。私は足を早めてその場所へと向かった。

住宅街の一角を曲がると、両側を芝生に囲まれた石畳みの細い道が現れる。その先に、こぢんまりとした白い建物がある。
私はそれを目にした瞬間、すうっと息を呑んだ。
「ここだ……」
ネットの写真で見たままの建物が、そこにあった。飾り気のないシンプルな茶色の屋根に、風見鶏が立っている。天井から近い場所に青いステンドグラスの窓が2つあり、その下に木製の両開きの扉がある。
窓の下に、自転車があった。よく使い込まれた感じのシルバーの自転車。車輪や車体のところどころに泥や小石がくっついている。

――ユキだ。

そう直感した。
この中に、ユキがいるんだ。
どくどくと胸が鼓を打つ。壊れかけの時計の秒針みたいに震える。

――ど、どうしよう……!

ユキに会うためにここまで来たのに。いざそのときになると足がすくんでしまう。
意味もなくバッグを手で探し、なくしたことを思い出して頭を抱える。
あああなにやってるの私……。
ユキに会うのに、怖いと思ったことなんてなかった。本当に会えるかどうか、そんな不安も不思議なくらいなかった。
だけど……こんなに緊張するなんて、予想外だった。
好きな人との初めてのデートみたいに。告白する前みたいに。そのどれも経験すらないけれど、たぶんこんな感じ。いやきっとこれは、それ以上だ。
なんで待ち合わせ場所が教会なんだ。もっと人の多いところにすればよかった。……って私がここがいいって言ったんだけど。
そう、私が、待ち合わせはここがいいって言った。この場所が素敵だと思ったから。

――ユキと初めて会うときは、こんな場所がいい。

恥ずかしくて言葉にしなかったけれど、そう思ったんだ。

私は意を決して扉に手をかけた。ギイイ、と蝶番が古びた金属音を立てる。
しん、と静謐な空間。それほど広くはない薄暗い部屋に、焦げ茶色の椅子が列になって並んでいる。その列のいちばん前に、人が座っている。
後ろ姿だけで、ユキだとわかった。
ユキだ。私の目の前にユキがいる。
私はゆっくりと近づいていく。黒髪の頭が、静かに上下している。
私はどきどきしながら、彼の前にまわった。
すう、すう、と規則正しい寝息を立てながら、ユキは眠っていた。
うわあああ、と感動しながら私はその寝顔を見つめる。ずっと画面の向こうにいたユキが、いまは、私の目の前にいる。
ふわふわしたクセのある黒髪。長い睫毛。女の子みたいに肌が滑らかで、でも首筋や腕などの骨格はちゃんと男の子で。ここに来るまでにいったい何があったのか、服のあちこちが汚れている。顔に擦り傷もある。
自転車で、ひとりで、ユキはここまでやってきたんだ。どれくらいかかったのかな。大変だっただろうな。
早く話を聞きたいけど、まだ心の準備が……そんなのいつまでたっても、できそうにないけれど。
ついまじまじと見つめてしまい、慌てて目をそらす。だけどやっぱり、そろそろと視線を戻す。すごいな、と私はまた感動する。
そのままだった。目の前にいるユキは、私が想像していたユキの、そのままだった。
私はどうなんだろう、と急に心配になる。ユキが想像していた私はどんな感じなんだろう。がっかりされたり、しないかな……。

私は、すとんと、ユキの隣に座った。ふうと腰を下ろして、十字架やオルガンや湖のように澄んだ水色のステンドグラスを眺めた。
そして。
「…………!」
バッチリと目が合った。
「うわあっ!」
目を覚ましたユキが飛び起きた。
「ごごごめんなさいそんなつもりじゃ……っ!」
私はパニックになって後ずさりながらあたふたと顔の前で手を振る。……って、これじゃ何かしようとしてたみたいじゃない!?
ユキが目を見開いて私を見る。
私も動きを止めて、じっとユキを見返す。
どうしてか、逸らすことができなかった。

「イノリ……だよね?」

と、ユキが確認するように言って、私はもうそれだけで泣きそうになる。
ずっと、そう呼んでほしかった。文字だけじゃなくて。声を聞きたかった。顔を見て、話したかった。

「……うん」

私は頷く。なんて言ったらいいかわからなくて、

「ユキ」

と名前を呼んでみる。
私たちは、それからどちらからともなく、笑った。

「はじめまして」

と、声をそろえてお互いに言った。