彼の素顔は甘くて危険すぎる


始業式ということもあり、半日で学校が終わった。
校門を出て、駅へと向かいながら彼女にLINEをする。

『風邪引いたって担任から聞いたけど、大丈夫か?』

言いたいことは沢山ある。
けれど、病人相手に沢山のメッセージを送るのもどうかと思って。
スマホを手にしたまま見続けているのに既読にならない。

やはり、寝込んでるのかもしれない。

自宅ではなく、彼女の自宅へと向かった。

**

何度か送り届けたことがあり、自宅の場所は知っている。
けれど、中に入ったことは無い。

コンビニで買った飲み物を手にして、インターホンを鳴らす。
何度鳴らしても返答がない。

仕方なく、小児科の入口へと向かった。

2階建てのコンクリート打ちっぱなしの病院は、半円柱(扇形)をしていて斬新な造りの建物。
大通りに面していて、結構目立つ建物だ。

自宅はその病院部分と連結されていて、隣に白い3階建ての造り。
テラスや円窓はお洒落な草花で彩られ、広い庭には白い大きなパーゴラがある。

緊張しながらも小児科のドアの前に立つと、『午前中の受付は終了しました』と書かれたプレートが掛けられている。
けれど、俺が立ったことで自動ドアが開いた。
中には入れるらしい。

静かに中に入ると、10人ほどの子供とその保護者が待合室にいた。

「すみません」
「はい」
「あの、こちらの病院の先生の娘さんの橘ひまりさんのクラスメイトなんですけど、ご自宅のインターホン鳴らしても応答が無くて……」
「あっ、……ひまりちゃんの彼氏さんですよね?」